1、被リンク元の数と質
質が高いコンテンツを作り自社サイトに掲載した後は、それをより多くのユーザーに見てもらうためにリンク対策をする必要があります。
自社サイトに内にある良質なコンテンツのページへ他のドメインのサイトから導線を張ることにより初めてコンテンツを見てもらう道が開けます。
SEO技術の三大要素:
1、企画・人気要素
2、内部要素
3、外部要素
の3つ目の要素である外部要素対策はWebサイトの上位表示のためには必須の要素です。
しかし、Googleを始めとする検索エンジン各社は見せかけだけの被リンクに騙されないようにリンクに関する膨大なデータを蓄積、研究して被リンクの質を厳しく精査するようになりました。
被リンク元の数
Googleは創業以来、外部ドメインのサイトからのリンクを検索順位決定のための重要な手がかりにしてきました。
その一つが被リンク元の数です。特定のサイトへリンクを張っている外部ドメインの数が多ければ多いほどリンクを張られたサイトは人気があり価値が高いはずなので検索順位が上がるべきだという発想です。
これは学術論文の参照情報をモデルにした考えだと言われています。つまり、様々な学術論文の中で参照元として紹介される文献は多くの学者から信頼されている価値が高い情報のはずだという発想です。
そうした価値の高い情報を持つ文献はその分野のおすすめランキングで上位にランクインされるべきだというのをそのままWebサイトのランキングに応用したのが初期のGoogleの特徴でした。
この発想を図にすると次のようなものになります。図の左にあるページAは2つの外部ドメインのサイトからリンクが張られています。
一方、右にあるページBは5つの外部ドメインのサイトからリンクが張られています。
この場合、参照しているつまりリンクを張っているサイト数が多いページBの方が人気が高いはずだというのが初期のGoogleの考え方でした。
被リンク元の質
しかし、この考え方に限界が生じました。原因は参照という本来の目的ではなく、検索順位を上げるためだけにやみくもに被リンク元の数を増やすという行為が一般化してきたからです。
つまりSEO目的のためのリンクを販売する企業や個人が急増し、それを購入するサイト運営者も急増しSEO目的のリンク市場が世界中に形成されたのです。
被リンク元の数だけではなく、その質を評価する基準をGoogleは年々増やし、不正なリンク購入の効果は徐々に低下するようになりました。質を評価する基準として代表的なものとしては:
(1)ページランク
(2)オーソリティー
(3)クリックされているか
(4)自然なリンクかどうか
があります。
(1)ページランク
GoogleはインデックスしたWebページ1つ1つにページランクをつけています。ページランクは2016年3月まで発表していましたが現在ではその発表を停止しています。しかし、一般には公表してなくても現在でも検索順位算定において使用されていると言われています。
ページランクという数値を活用することにより被リンク元のページランクも考慮されるようになっています。ページランクが低いたくさんのページからリンクを張られているページよりも少数でもページランクが高いページからリンクを張られている方が上位表示される傾向がGoogleにはあります。
(2)オーソリティー
次に被リンク元の質を測る指標としては被リンク元サイトのオーソリティー、つまり権威性があります。ある特定の分野で多くのユーザーに支持されている企業や団体のサイトや、たくさんのファンを抱える人気サイトはその分野で権威があるサイトです。
権威があるサイトからリンクを張られているページの方が、そうではないサイトからしかリンクを張られていないページよりも検索順位が高くなる傾向があります。
(3)クリックされているか
Googleが公開している技術特許の1つに陽性リンクと陰性リンクの判別に関する特許があります。
陽性リンクというのはユーザーにクリックされているリンクのことで通常、陽性リンクはページ内の比較的目立つ部分にあります。一方、陰性リンクはユーザーにクリックされないリンクのことで多くの場合、ページ内の目立たない部分にあります。
このGoogleの特許によると陽性リンクは高く評価され、陰性リンクは高く評価されないということです。
(4)自然なリンクかどうか
自然なリンクのほうが不自然なリンクよりも高く評価され上位表示に貢献します。自然なリンクかどうかを判断する基準をGoogleは多数持っていますが、次のようなものがあることがはっきりとしてきています:
①自然なアンカーテキスト
アンカーテキスト中に記述された内容は自然でなくてはなりません。
アンカーテキストというのは
というように
この部分に「鈴木工務店」というアンカーテキストが書かれるのはよく見られる形ですが、この部分に「工務店 神奈川」と入れるのは不自然です。
何故なら通常、人は他人のサイトにリンクを張るときにサイト名か、会社名をアンカーテキストにしてリンクを張るか、URLをそのままアンカーテキストにしてリンクを張るからです。
【自然なアンカーテキストの例】
【不自然なアンカーテキストの例】
にも関わらず「工務店 神奈川」と入れてリンクを張るのはあたかも「工務店 神奈川」というキーワードで上位表示を目指しているかのようです。
こうした不自然なアンカーテキストが1つ2つ程度あるなら良いのですが、何十も、何百ものサイトにあればそれはSEOのためだけのリンク対策をしているのではないかとGoogleに察知されて検索順位は上がりません。それどころか、リンクに関するペナルティーを与えられて検索順位が大きく下がる可能性が生じます。
②分散されたドメインエイジ
2012年以前のGoogleは古いドメイン、つまり使用年数が長いドメインで開かれているWebサイトからのリンクを高く評価していました。
そのため古いドメインのサイトからリンクを張ってもらうことが検索順位アップの近道だった時代があります。
その時代には古いドメインのサイトに金銭を支払い自社サイトにリンクを張ってもらうという活動が流行し、当時のSEOは古いドメインからのリンクをいかにたくさん獲得するかという「古いドメインからのリンク獲得=SEO」という風潮がありました。
しかしこのような事が続くとGoogleの検索結果は古いドメインからのリンクを要領よく購入したWebサイトばかりが上位に表示されてしまい、検索エンジンの本来の責務である「ユーザーにとって役に立つサイトの順番にする」というものから程遠いものになってしまうという危機に直面しました。
こうした状況から脱却するためにGoogleはリンクの評価基準を厳格化しました。その成果の一つとして古いドメインからのリンクばかりがされているサイトは不自然だと判断するようになったのです。
そしてそれ以降は古いドメインのサイトからのリンクばかりではなく、最近開設された新しいドメインのサイトからもリンクをされないと上位表示されにくくなりました。
上位表示を目指すサイトにリンクを張るサイトのドメインの古さ、つまり年齢(エイジ)を分散する必要性が生じるようになりました。
③分散されたIPアドレス
分散されなくてはならないのはドメインエイジだけではなく、ドメインが置かれているサーバーのIPアドレスもです。
IPアドレスというのは4つのグループから成る数字の組み合わせを「.」(ドット)で区切ったものです。
【IPアドレスの例】
115.146.61.18
214.390.949.18
IPアドレスは数字の羅列であり覚えることが困難なためドメイン名が考案されIPアドレスを対応させて覚えやすくするようにしました。
【IPアドレスとドメイン名を対応付けた例】
182.22.40.240=http://www.yahoo.co.jp
54.240.248.0=http://www.amazon.co.jp
IPアドレスの数には限りがあり、全国各地にあるレンタルサーバー会社やサーバーを所有している会社・団体にはそれぞれ少数のIPアドレスが割り振られています。
Google等の検索エンジンはサイトへのリンクを評価する際にたくさんのドメイン名のサイトからリンクをされているサイトを基本的には高く評価します。
しかし、検索エンジンが見ているのはドメイン名だけではなく、ドメイン名とひも付けがされているIPアドレスもです。
1つのIPアドレス、例えば
182.22.40.240というIPアドレスに
http://www.aaaaa.co.jp
というドメインだけなく
http://www.bbbbb.co.jp
http://www.ccccc.co.jp
というように複数のドメイン名をひも付けている場合、
http://www.aaaaa.co.jp
http://www.bbbbb.co.jp
http://www.ccccc.co.jp
の3つのドメイン名のサイトからリンクがされていてもそれら3つのドメイン名は全て182.22.40.240という同じIPアドレスにひも付けがされているので3つのドメイン名からリンクがされているとはGoogleは評価をしません。IPアドレスが同じだということは同じ運営者が運営しているサイトからのリンクでしかないと判断するからです。検索エンジンが高く評価するのは同じ運営者が運営する複数のサイトからのリンクではなく、複数の運営者のサイトからのリンクです。
理由は、そうすることによってより多くの企業や人が支持、推薦するサイトが検索結果の上位に表示されやすくなるからです。
こうした理由から、自社サイトの検索順位を上げるためにサーバーを借りてそこに複数の別ドメインのサイトを開きそれらから上位表示を目指す自社サイトにリンクを張るという支持や推薦のためではないリンクを自作自演することは順位アップにはほとんど貢献しなくなりました。
サイト運営者は自作自演の「形だけのリンク」ではなく、他人から紹介をしてもらうための「真実のリンク」を集めなくてはならないのです。
④ディープリンクが多いか
トップページにばかりリンクされるとリンク対策をしていると検索エンジンに認識されるリスクが高まります。
真に人気のあるサイトはサイトのトップページへのリンクばかりではなく、サイト内にある有益なコンテンツを掲載しているサブページにもリンクが張られているものです。
他のドメインからリンクを張る時、張ってもらう時はトップページへのリンクばかりに偏るのではなく、サブページにリンクを張ってもらうように心がけるべきです。
⑤関連性の高いページからのリンク
Googleはクリックされるリンクを高く評価しますが、クリックされるリンクというのは関連性が高いページからのリンクであることがほとんどです。
例えば、スキーについて書かれているWebページからスキーグッズのネットショップにリンクが張られていれば読者はクリックする可能性が高いでしょうが、どこかの歯科医院のサイトにリンクが張られていたらどうでしょうか?
スキーのコンテンツを求めて訪問してきたユーザーがクリックする可能性は低いはずです。クリックされる可能性が高いリンクを集めるためにもリンク先のサイトと関連性の高いページからのリンクを集めるようにして下さい。
以上が自然なリンクかどうかの判断基準の主だったものです。Googleはこうした基準によってリンクが自然かどうかを判断して不自然なリンクであると判断した場合、リンクされたページだけではなく、そのページがあるサイト全体にペナルティーを与えることがあります。
それにより検索順位が著しく下落して企業に多大なダメージを与えることがあります。そうした事態を避けるためにも不自然なリンクをサイトに張る活動は避けなくてはなりません。
被リンク元の増加率
Googleが見ている被リンク元の3つ目の特徴は被リンク元の増加率だということがGoogleの技術特許を分析するとわかります。
何故、増加率をGoogleが見るのかというとペンギンアップデートが実施された2012年以前までのSEOではとにかく被リンク元の数を増やせば検索順位が上がっていた傾向が非常に高かったため、急激に被リンク元が増える理由は過度なSEOをしている証拠になることがあったからです。
急激に被リンク元が増えること自体には問題はありません。多くのユーザーが見たい情報がサイトに掲載されれば検索エンジンを通じて多くのユーザーがそのサイトを訪問します。そしてその情報を他の人達にも知ってもらいたいと思った時、サイトを管理しているサイト管理者の多くが紹介をするためにそのサイトにリンクを張ることがあるからです。
しかし、その場合単に被リンク元が急激に増えるだけではなく、同時にそのリンクをクリックして訪問するユーザー数も比例して増えるはずです。
しかしSEO目的のためだけにリンクを張った場合、そのリンクをクリックする人達はほとんどいません。そのためたくさんのアクセスが発生することはなく、単に被リンク元の数だけが増えるという結果になります。
Googleはこのように被リンク数の増加率とそのリンクを辿って訪問したアクセス数を比較しているのです。
そして被リンク数だけが急に増えてそれにともなったアクセス数が増えない場合はそのリンクは不正なSEO目的だけのリンクではないかと疑うようになります。
短期間で検索順位を上げるためにはまとめてたくさんのサイトからリンクを張ってもらうことが2012年前までには当たり前のように行われていました。
一定の料金を払えば多数のリンク集に登録してリンクを張ってくれたり、多くのブログで紹介記事を書いてリンクを張ってくれるというサービスがありました。
そうしたサービスを利用すると利用した時だけ一気にリンク元の数が増えます。それ以外の時期にはリンク元の数はほとんど増えません。
Googleはこうした特徴を捉えて不正リンクを集めたサイトを見つけ出しペナルティーを与えるようになった現在、こうしたサービスを使うことは避けなくてはなりません。
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