4、流入経路

 

流入経路とは?



流入経路とは、自社サイトにどこからユーザーがやってきたか、そのアクセス元のことを言います。


例えばホットペッパーというポータルサイトにお店の情報を載せてもらい、お店のサイトにリンクを張ってもらえばホットペッパーはお店のサイトにリンクを張っている被リンク元になります。


そしてそのリンクをクリックしてお店のサイトに実際にユーザーが訪問してくれたらその時初めてホットペッパーはお店のサイトの流入元になります。


あるいはある人がFacebookの個人アカウントで自社サイトの事を紹介してくれて自社サイトにリンクを張ってくれて、1人以上のユーザーがリンクをクリックして自社サイトに来てくれたらその時初めてFacebookは自社サイトの流入元になります。


このようにリンクを張るだけではなく、そのリンクをクリックして実際にリンク先にユーザーがサイトに移動することを「流入する」と言います。



Webマーケティングの成功とは?


Webマーケティング、つまりWebを使った集客の成功は流入元の数とそこからの流入数を最大化することです。


Webマーケティングの手段の1つであるSEOとは、流入元の1つ、それも非常に大きな一つである検索エンジンからの流入数を増やすことです。


そのためにこそ自社サイト内にある様々なWebページの検索順位を引き上げて頻繁に検索ユーザーの目に入るようにするための施策が必要になり、その施策のことをSEOと呼びます。


確かに検索エンジンという大きな流入元からより多くのユーザーを自社サイトに流入させることは重要な事です。しかし、流入元は検索エンジンだけではありません。何故ならネットユーザーは検索エンジン以外にも様々なサイトで自分が探しているサイトを見つけることがあるからです。


より多くのサイト訪問者を獲得するためには:


(1)流入元の数を増やす


 検索エンジン以外にもなるべく多くのサイトの目立つ場所に掲載してもらい自社サイトにリンクを張ってもらう


(2)それぞれの流入元から流入数を増やすこと


 検索エンジンに対してはSEOを実施してランキングの上位に表示してもらう。その他のサイトに対してはサイトの目立つ場所に掲載してもらいリンクをクリックしてもらうように推奨してもらう


という2つのことを目指す必要があります。


本書の第3章で述べてきたようにGoogleはトラフィックが多いサイトの検索順位を高くする傾向があります。トラフィックを最大するためにはまさにこの流入元の数を増やすことと、それらからの流入数を増やすことがSEOの成功に直結することにもなります。



競合調査ツールでの流入元の見方


目標を設定する上で実際に上位表示しているサイトの流入元を調べるにはシミラーウェブ無料版のプラグインをクロームブラウザか、ファイヤーフォックスブラウザにインストールします。


【クローム用プラグインダウンロード案内サイト】



https://chrome.google.com/webstore/detail/similarweb-website-rankin/hoklmmgfnpapgjgcpechhaamimifchmp



【ファイヤーフォックス用プラグインダウンロード案内サイト】


https://addons.mozilla.org/en-US/firefox/addon/similarweb-sites-recommendatio/



【クロームブラウザに設置されたボタン】



【ファイヤーフォックスに設置されたボタン】



そしてそれをクリックするとブラウザで表示しているサイトのデータが表示されます。


表示された画面のヘッダーにある「Sources」(流入元)というタブをクリックすると流入元データが表示されます。




グラフは左から:


(1)Direct:ダイレクト


ブラウザのブックマーク、またはお気に入りに入れていたものをクリックしたユーザーと、URL入力欄に直接URLを入力して訪問したユーザーの合計


(2)Links:リンク


他サイトに張られているリンクをクリックして訪問したユーザーの合計


(3)Search:サーチ


Google、ヤフー、Bingなどの検索エンジンの自然検索結果部分とリスティング広告をクリックして訪問したユーザーの合計


(4)Social:ソーシャル


Facebook、Twitter、LINE@、YouTube等のソーシャルメディア記事上のリンクをクリックして訪問したユーザーの合計


(5)Mail:メール


ユーザー、顧客へ送信したメールに記載されたURLをクリックして訪問したユーザーの合計


(6)Display:ディスプレイ広告


バナー広告や、リターゲティング広告等のディスプレイ広告のリンクをクリックして訪問したユーザーの合計


の順番で表示されます。


全訪問者数の何%がそれぞれの流入元からサイトに訪問したかが%の数字とグラフの高さによって知ることができます。



アクセス解析ツールでの流入元の見方


Googleアナリティクスで流入元を調べるためには管理画面の左サイドメニューの


集客 → 全てのトラフィック → チャンネル


を選択します。



4つの流入元が表示されます。


流入が多いものが上から順番に表示されます:


(1)Organic Search:オーガニックサーチ(自然検索)


Google、ヤフー、Bingなどの検索エンジンの自然検索結果部分をクリックして訪問したユーザーの合計。シミラーウェブのSearch:サーチに該当。


(2)Social:ソーシャル


Facebook、Twitter、LINE@、YouTube等のソーシャルメディア記事上のリンクをクリックして訪問したユーザーの合計。シミラーウェブのSocial:ソーシャルに該当。


(3)Direct:ダイレクト


ブラウザのブックマーク、またはお気に入りに入れていたものをクリックしたユーザーと、URL入力欄に直接URLを入力して訪問したユーザーの合計。表示項目をカスタマイズしない限りさらにメールからの流入も含まれます。シミラーウェブのDirect:ダイレクトとMail:メールに該当。


(4)Referral:参照元


他サイトに掲載されているリンクをクリックして訪問したユーザーの合計。シミラーウェブのLinks:リンクに該当。


特に表示項目をカスタマイズしない限り上の4つの流入元が表示されます。さらに細かく流入元を設定する場合は管理画面の「アナリティクス設定」という項目で図のように流入元の種類をカスタマイズすることが出来ます。




流入元の7つの診断ポイント


競合調査ツール(シミラーウェブ)とアクセス解析ツール(Googleアナリティクス)の流入元を見てどこをどのように見たら良いのかは少なくとも次の7つのポイントがあります:


(1)流入メディアのバランスが良いか?


 サーチだけに偏っていないか、ソーシャルが全く無いのではないか、ダイレクトが少なすぎないか、リファーラルは多いか等をチェックします。


何か特定の流入元に偏っていて、他の流入元からの流入が無い場合はとトラフィックを増やす余地がたくさんあるということを意味します。


何故なら、全く流入の無い流入元は何も手を打っていないから流入が無いことがほとんどだからです。そうした場合は、少しでもその流入元からの流入を増やすための対策をすればそれだけサイトへのトラフィックが増えます。


反対に、打てる対策の全てをすでに行っている場合はどの流入元もゼロということはありません。


次の図は日本のアマゾンの全体の流入元をシミラーウェブで調べたデータです。



ご覧のように左から、ダイレクト、リンク、サーチ、ソーシャル、メール、ディスプレイの全ての流入元からの流入があり、ゼロ%というのは1つもありません。これは流入の可能性がある流入元を増やす努力を行っているという証拠です。その結果もあり、日本のアマゾンは年々売上を増やし抜群の知名度を誇るまでに成功しています。


(2)ダイレクトが多いか?


 たくさんのトラフィックを獲得して売上も多いサイトほど、その流入元データを見るとダイレクトの比率が多い傾向があります。


【シミラーウェブで見たダイレクト】



【Googleアナリティクスで見たダイレクト】



その理由は、知名度が高いサイトほど再度サイトを訪問したくなる魅力があり、忘れないようにユーザー達が使うブラウザのブックマークやお気に入りに登録をするからです。


そして再度訪問したくなったら検索エンジンで検索しなくてもブラウザのブックマークやお気に入りをクリックすることによりすぐにユーザーはそのサイトを訪問することが出来ます。



また、PR力が高い企業ほど覚えやすいドメイン名を取得します。何故なら覚えやすいドメインならユーザーがドメイン名を記憶してくれて訪問したくなったらユーザーのブラウザのURL入力欄に直接「amazon.co.jp」というようにドメイン名を入力する傾向があるからです。さらには、この行動を促すためにテレビCMやその他広告物、そして配送用のダンボールにまで「amazon.co.jp」というドメイン名を載せて記憶を強化する努力をしています。


最近のブラウザは文字を途中までタイプするとその後の文字を予測しますのでブラウザのURL入力欄に「ama」と入れるだけで「amazon.co.jp」と自動的に表示されることもこの手法を助けるようになっています。



こうした様々なPR努力をすることと、何よりも差別化されたサービスや圧倒的な価値のある商品を提供することにより流入元データにおける「ダイレクト」の比率は高くなります。


反対に、こうしたPR努力をほとんどしない企業や、提供する商品やサービスの価値が低い企業の流入元データにあるダイレクトの比率は限りなくゼロ%に近くなってしまいます。


こうした理由により、流入元データにおけるダイレクトの比率が高いかどうかがそのサイトの実力を示す数値なのです。


自社サイトのダイレクトの比率が低い場合は、言うまでもなくPR努力と商品・サービスの改善が求められます。そして、ダイレクトの比率が高い競合他社のサイトを競合分析ツールを使い発見してそのサイトがどのような施策を行っているのか、サイトの様々なページを注意深く観察して、自社サイトに取り入れされそうなものは取り入れるようにするべきです。


また、時にはそれら競合サイトで商品を実際に申し込んでみて商品の質の確認とサービス体制の質を確かめることも自社のPR力を高めるための有効な手段となります。


(3)ソーシャルが多いか?


 近年上位表示しているサイトの特徴の一つがソーシャルメディアを活用していることです。
競合他社の流入元データを見た時にソーシャルの数値が高い場合はその企業がソーシャルメディアをしっかりと活用しているという証拠になります。その場合、シミラーウェブの「Social」というタブをクリックして具体的にどのソーシャルメディアを活用しているかの内訳を見ましょう。そして実際に彼らのソーシャルメディアページを観察してどのようなコンテンツをソーシャルメディアで発信しているかを知り自社で出来ることはないか研究してください。そこからその業界で有効なソーシャルメディア活用法が見つかることがあります。


【シミラーウェブで見たソーシャル】



【シミラーウェブで見たソーシャルの詳細】



一方、Googleアナリティクスの「Social:ソーシャル」のほうは、自社が取り組んでいるソーシャルメディア活用がどのくらいの成果を上げているかを確認することが出来ます。


下の図はサイトの全訪問者の内29.46%がソーシャルメディアから流入していることを示すデータです。全訪問者の内3分の1近くの訪問者がソーシャルメディアページから来たことがこれによりわかります。



さらに「Social」という部分をクリックすると次の図のようにその内訳と過去の流入の伸びをグラフで見ることが出来ます。



これによりFacebook、Twitter、YouTube等のソーシャルメディア記事上のリンクをクリックして訪問したユーザーが順調に増えているか経過を知る事ができます。増えていないのなら発信する記事は適切か、リンク先のページには魅力的なコンテンツがあるかなど見直す等改善に役立ちます。


(4)メールが0ではないか?


 メールマガジンを発行しているとメールの記事内にあるURLをクリックするサイト訪問者が増えます。メールからの流入が多い企業ほどサイト訪問者が多く、業績も良い傾向にあります。反対にメールマガジンを出さずに顧客フォローを怠っているところほどサイト訪問者の数が少なくリピート購入が増えないために業績も低い傾向にあります。


すでにメールマガジンを発行して既存客に配信している場合でも、その頻度は高いか、記事内容の品質は十分な水準に達しているか、記事内のURLをクリックする動機付けがあるか等改善をするようにして下さい。


【シミラーウェブで見たメール】



【メールマガジン記事内のURL】



(5)ディスプレイが0ではないか?


 ディスプレイ広告とは、Web広告としてはもっとも初期から存在する広告フォーマットの一つで、Web広告の形式の一種です。Webページの一部として埋め込まれて表示される、画像やFlash、動画などによる広告です。Webページの画面上部などに表示される横長の画像広告を特にバナー広告といいます。(e-Wordsより)


ディスプレイ広告も、リスティング広告と同様、サイトのトラフィックを増やす手段です。リスティング広告ほどの効果は通常ありませんが、リスティング広告と比べると比較的低予算で広告を出稿出来るので他の流入元の伸びしろがもうほとんど無い場合はディスプレイ広告を出稿してトラフィックを増やすことも選択肢の一つとなります。


【シミラーウェブで見たディスプレイ】



【ディスプレイ広告の例】



(6)流入元サイトが自社運営サイトばかりではないか?自社運営サイトがランキング上位でないか?


 検索エンジンとソーシャルメディア以外の一般のサイトからの流入がどの程度あるのかを知ることは非常に重要な事です。


シミラーウェブでは「Links:リンク」の項目を、Googleアナリティクスでは「Referral:参照元」の項目を見るとどのサイトからリンクが張られていて訪問者が流入しているかが分かります。


【シミラーウェブで見たLinks:リンク 】



【シミラーウェブで見たLinks:リンクの詳細】



【Googleアナリティクスで見たReferral:参照元】



【Googleアナリティクスで見たReferral:参照元】



人気サイトほど他社サイトからの流入が多いものです。反対に、人気の無いサイトほど他社はリンクを張ってくれないために自社が運営している他のドメインのサイトからの流入ばかりに依存しています。


自社運営サイトが流入元サイトのランキング上位だということは、自社の実力以下のサイトからしか紹介してもらえていないということを意味します。


(7)流入元サイトの数が競合他社よりも多いか?


 人気サイトほどより多くの他社サイトが紹介してくれます。反対に、人気の無いサイトほどわずかな数の他社サイトからしか紹介してもらえません。自社のサイトがどのようなサイトから流入しているかはGoogleアナリティクスの左サイドメニューの:


集客 → 全てのトラフィック → チャンネル → Referral


で見ることが出来ます。


【Googleアナリティクスで見たReferral:参照元の項目】




競合調査ツールのシミラーウェブでは無料版では流入元上位5サイトを、有料版のPROは利用料金に応じて上位500サイト〜見ることが出来ます。


【シミラーウェブ無料版で見たlinks:リンク】



【シミラーウェブPROで見たlinks:リンク】



Googleアナリティクスで表示される参照元=流入元の数が増えている傾向にあるかどうかをチェックして、増えていないようなら他社からリンクを張ってもらうためにサイト内のコンテンツの充実とリンクを張ってもらうための交渉やPR活動に力を入れる必要があります。


他社のサイトからの流入を増やすためにはリンクを張ってもらう必要があります。


しかし、流入をもたらすほどのリンクを張ってもらうためには、リンク先である自社サイトの内容の充実、つまりリンクするに値するコンテンツを自社サイトに増やす必要があります。


コンテンツの充実の具体的な方法は本書の第1章を、リンク対策については第2章を参照して少しでも多くの流入元(参照元)を増やす努力を怠らないようにして下さい。



次のページ:流入キーワード 


 前のページ:ツールで注目すべき5つの指標