2、Googleのビジョン
Yahoo!JAPANがGoogleを採用
日本国内においては、2010年まで独自の検索エンジンYST(Yahoo!Search Technology)を使用していたYahoo! JAPANはYSTの使用をやめて、Googleをその公式な検索エンジンとして採用しました。
それは、Googleの絶え間ない検索結果品質向上の努力が認められたからに他なりません。今日では日本国内の検索市場の90%近くのシェアをGoogleは獲得することになり検索エンジンの代名詞とも言える知名度を獲得しました。
このことにより日本国内ではGoogleに対するSEOを実施することは、同時にYahoo! JAPANのSEOも実施することになります。
その他の有力検索エンジンと市場シェア
また、検索市場シェアの残りを占めるマイクロソフト社が運営するBingという検索エンジンがありますが、Googleの技術を参考にしているためGoogleで上位表示をすればBingでも上位表示する傾向があります。
米国においては、Bingの市場シェアが少しずつ成長しています。理由は、米国のYahoo!がBingを検索エンジンとして採用している事と、運営会社のマイクロソフト社がスマートフォン市場で大きなシェアを握るアップル社と提携してiPhoneユーザーへの露出が多いことが考えられます。
また、アップル社も独自の検索エンジンを2015年に立ち上げてSpotlightという検索機能の強化とパーソナルアシスタントのSiriの機能強化のために役立てています。
【世界全体と日米の検索エンジン市場シェア】
StatCounter 調べ
全ての情報を検索可能にする「ユニバーサルサーチ」
Webページの検索エンジンとしてスタートしたGoogleは2007年以降、検索対象範囲を次々に拡大するようになりました。
これは多様化する検索ニーズに対応するためのもので、従来のWebページだけでなく画像、動画、地図、ニュース、ショッピング情報、アプリ、書籍など、多様な形態のコンテンツを検索可能にするものでユニバーサルサーチと呼ばれるものです。
細分化されたSEOへの対応
ユニバーサルサーチの実施は「世界中の全ての物を検索可能にする」というGoogleの創業者であるラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの創業時のビジョンを具現化するものでした。
ユニバーサルサーチの時代に対応するためにSEOの対象範囲は次のように拡大するようになりました:
1、WebページのSEO
2、画像のSEO
3、動画のSEO
4、地図のSEO
5、ショッピング情報のSEO
6、書籍情報のSEO
7、モバイルアプリのSEO
この変化により2つの課題が生まれました。
1、細分化されたそれぞれの検索結果で上位表示を目指す
→ 従来のWeb検索の他に画像検索で上位表示する技術は何か、動画検索で上位表示するにはどうした良いのか、実験と検証を繰り返して上位表示を実現する
2、通常のWeb検索結果ページにどのようなコンテンツ形態がどのようなキーワードで検索した時に表示されるのか知る
→ 通常のWeb検索の検索結果画面にWebサイト以外の画像や、動画、地図なども表示されるのは何故なのか?どうすればそこに自社のコンテンツを表示することが出来るのかを知ること
こうした細分化されたSEOをすることにより、これまで以上に自社サイトに検索ユーザーを誘導するチャンスが生じるようになりました。
モバイル検索
次の大きな変化が2015年から始まりました。それは急速に拡大するモバイル検索のニーズに対応するためであり、モバイル版Googleの検索結果にはスマートフォン対応していないWebサイトは順位を落とすという「モバイルフレンドリーアップデート」の実施です。
このアップデートが実施された2015年4月以降、実際にスマートフォン対応していないサイトのモバイル版Googleでの検索順位が落とされ、反対に対応しているサイトの順位が上がるという事が起きました。
その時以来、スマートフォン対応しているかどうかによる格差がモバイル版Googleで見られるようになりました。
これによりWebサイトの全てのページをスマートフォン対応することが急務となりました。
さらに、2015年後半には検索対象をスマートフォンユーザーが利用するスマートフォンアプリにまで広げるようになりアプリのSEOという新しい分野も生まれました。
そして遂にGoogleは2018年からモバイルファーストインデックスの導入を発表し、PCサイトではなく、モバイルサイトの中身を見てモバイル版GoogleとPC版Googleの検索順位を決めるという大きな方針転換をすることにしました。
モバイルファーストインデックス導入後のSEOは、モバイルサイトの内部最適化が重要な課題になります。
(本書執筆時の2018年2月時点では未だモバイルファーストインデックスの導入は完了していません)
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