5、情報拡散を促す方策
自社サイト上にある商品案内のコンテンツや、ドメイン内に設置したブログなどをより多くのソーシャルメディアユーザーに見てもらうためには情報が拡散されやすくするためのツールを使うことが効果的です。
ソーシャルボタンの設置
ソーシャルメディアによる情報拡散を実現しやすくするための最も初歩的な対策は自社サイトのページの適切な場所にソーシャルボタンを設置することです。
ソーシャルボタンとは下図のように最近多くのサイトで見かけるようになったFacebook、Twitter、G+、B!等の小さめの画像ボタンです。
その画像をクリックすることによりそのページの情報をサイト訪問者が普段使っているソーシャルメディアのコメント入力欄が小窓で表示されてコメントを記入した後に送信ボタンを押すと自分のソーシャルメディアアカウントにお友達登録(またはフォロー)してくれている友達にその情報が配信されるというものです。
ユーザーがシェアしたくなるページ
ソーシャルボタンがページにあることによってサイト訪問者が思い立った時にいつでもそのページを自分の友だちに知らせることが可能になります。
ソーシャルメディアを使ってるユーザーの行動原理には「役に立つ情報を発見したら自分の友だちにシェアする」というものがあります。
この行動原理を活用することにより自社サイトのトラフィックを増やすことが出来ます。
そのためには次の2つのことを心がける必要があります:
(1)ソーシャルボタンが目立つ所に設置されている
→ ソーシャルボタンを目立つように設置することにより「このページはシェアが出来る」というサインをユーザーに発することが出来ます。
効果的なソーシャルボタンの設置場所はページのヘッダー部分とフッター部分の2箇所です。
ページにあるメインコンテンツの上と下に置くことにより、上のソーシャルボタンは押されることはほとんどありませんが、ソーシャルボタンがあるという信号を与えることが目的です。
そしてメインコンテンツを実際に読んでそのコンテンツを自分の友だちにも知らせたい場合はメインコンテンツのすぐ下に設置されたフッターのソーシャルボタンをユーザーが押します。
(2)シェアしたくなるページにソーシャルボタンを設置する
→ もう一つの重要なポイントは、メインコンテンツ自体がシェアしたくなるようなものかどうかです。
自社商品の売り込みをしているだけのページや、サイトマップページや、お問合せフォーム等にソーシャルボタンを設置してもそれらはユーザーの友達にわざわざ紹介したくなるほどの内容ではありません。
むしろユーザーがシェアしたくなるページは役に立つ情報、面白い情報が載っているページです。
次の図は、SEOを学ぶ人に役に立つように作られたQ&Aコーナーのページのメインコンテンツの上と下にソーシャルボタンを設置した例です。
シェアされやすいお役立ちコンテンツのあるページには:
(1)Q&Aページ
(2)事例紹介ページ
(3)ニュースページ
(4)ブログ記事ページ
(5)無料素材がダウンロード出来るページ
(6)シュミレーションが出来るページ
(7)ソフトが使えるページ
(8)ゲームやクイズが楽しめるページ
(9)プレゼントや懸賞の案内ページ
(10)動画が見れるページ
(11)無料テンプレートがダウンロード出来るページ
(12)商品の選び方や使い方が説明されているページ
などがあります。
これらのページのヘッダーとフッターには積極的にソーシャルボタンを貼り付けるようにして下さい。
ソーシャルメディアページへのリンク
もう一つ忘れてはならないのは、自社サイトから自社が運営している各種ソーシャルメディアページへのリンクを張ることです。
これをすることによりユーザーが訪問したサイトを運営する企業がソーシャルメディアも運営していることをユーザーが知ってくれて興味が湧いたらソーシャルメディアページのほうも見てくれるという結果につながりやすくなります。
サイトを見に来たユーザーがその時は商品を購入しないでそのままサイトから離脱してGoogleやヤフー等の検索エンジンに戻ってしまったらその後いつ自社サイトに戻ってきてくれるかわかりません。
しかし、サイトからリンクを張っているソーシャルメディアページを訪問してくれたらそこで自社のことをもっと詳しく知ってもらうことにより商品を購入してくれるかも知れません。また、商品を購入しなくてもその後その会社の情報を取得するためにフォロワー(情報受信者)になってくれるかも知れません。
ソーシャルメディアページヘのリンクを自社サイトから張ることにより切れてしまうかも知れない縁を切れないように維持するための努力をするのです。
タイムラインの設置
さらに積極的に自社ソーシャルメディアページの存在とフォロワーを増やすために出来ることがソーシャルメディアのタイムラインを自社サイトに設置することです。
タイムラインとはソーシャルメディアユーザーが投稿した情報を時系列順に表示するもので、新しい情報ほど上に表示されるフレームによる窓のことを言います。
【Twitterのタイムラインを設置した飲食店のサイトの例】
【Facebookページのタイムラインを設置した飲食店のサイトの例】
タイムラインを設置すると次のようなメリットが生じます:
(1)活発に活動している事が伝わり企業の信用アップになる
→ 企業の最新情報がタイムラインの上から下にかけて投稿日時や画像と一緒に表示されるので活発に活動している印象を見る人に与えることが出来ます。
(2)フォロワー、友達登録者が増えやすくなる
→ Twitterのタイムラインには「フォローする」というボタンが表示され、Facebookページのタイムラインにはページヘの「いいね」のボタンが表示されるのでこれらのボタンを押したユーザーにはその後も投稿内容が配信されるようになりサイトの再訪問を促すことが出来ます。
タイムラインを張る場所と各種ソーシャルメディアページへのリンクを張る場所については注意点があります。
それはWebページの下のほうにそれらを張るべきだということです。そうしないとWebページ内のメインコンテンツを見る前にサイト訪問者がソーシャルメディアページの方に行ってしまい自社サイトのサイト滞在時間を短縮することになるからです。
ソーシャルメディア広告の活用
よりスピーディーに情報拡散を実現する方法としてソーシャルメディア広告の活用があります。
通常、自社ソーシャルメディアページに投稿する情報は、フォロワーまたはお友達として登録しているユーザーにしか届かないようになっています。
また、Facebook社の2015年の発表によるとFacebookの場合は、ページヘのいいねを押してフォロワー登録したユーザーのうち約12%のアクティブなユーザーにしか情報が届かないようになっています。
こうした中で、より多くのソーシャルメディアユーザーに一気に自社情報を配信して情報拡散を目指すことを可能にするのが有料で利用できるソーシャルメディア広告です。
ソーシャルメディア広告には様々なタイプのものがありますが、効果的な広告の一つがFacebookが販売する投稿記事の広告です。
普段通りに投稿した情報に対して広告をかけるとその情報を通常のフォロワーだけではなく、指定した属性のユーザーにも配信することが可能になります。
次の図はFacebookにログインした状態で見た自社の投稿情報です。
画面右下にある「投稿の広告を出す」というボタンをクリックすると次の図のようにこの投稿記事を見て欲しいユーザーの属性を選ぶ画面が表示されます。
配信したいユーザーの居住地域や興味、性別、年齢などを自由に設定して数百円からの少額から広告を購入することが出来ます。
Facebook社の広告規約に触れない限り申込みをしてから15分以内に広告の表示を開始することが出来ます。
Facebook以外にも多くのソーシャルメディアがこうした気軽に出稿出来る広告の品揃えを増やしてきており人気の広告商品に成長するようになりました。
その他広告の活用
ソーシャルメディア広告以外にもチラシ広告や、雑誌広告、テレビCM、ラジオCMなどにFacebookを意味するfマークやTwitterを意味する小鳥マーク、LINE@を意味する黄緑色のLINEマークなどを広告物に挿入して自社ソーシャルメディアページヘの来訪を促進することが可能です。
インフルエンサーへの紹介依頼
フォロワー数が多いTwitterを運営している個人や、Facebookページのページヘのいいね数が多い個人、法人などを探して自社のソーシャルメディアページに投稿した情報をシェアしてもらうよう交渉することが可能です。
こうした影響力のあるソーシャルメディアページを運営している個人や法人の事をインフルエンサー(影響力のある者)と呼びます。
インフルエンサーに直接金銭を払って紹介してもらうことはステルスマーケティングになり消費者の信頼を裏切る結果をもたらすリスクがあります。ステルスマーケティングを避けるための工夫としては、ためになるイベント、楽しめるイベントを自社で開催してそこにインフルエンサーを招待して自発的にイベント開催者である企業のイベントやそこで紹介される商品をソーシャルメディアを使って紹介してもらうことを目指すというものがあります。
※ステルスマーケティングとは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。 略称はステマ。アンダーカバー・マーケティング(英:Undercover Marketing)とも呼ばれる。ゲリラ・マーケティングの1つ。(Wikipediaより)
プレスリリース
インフルエンサーや一定の影響力のある個人や企業に自社の商品や自社そのものに興味をもらってもらい何らかの形で彼らのソーシャルメディアで取り上げてもらうためのきっかけとしてプレスリリースをするという手法があります。
プレスリリースを出すことにより常日頃から最新の情報を探しているインフルエンサーや一定の影響力のある個人や企業に自社の事を知ってもらい、彼らのフォロワーに伝えたい何かがあれば情報発信してくれる可能性が生じます。
自社サイト上にプレスリリースページを作るだけではなく、プレスリリース代行会社にリリースの代行を依頼すれば効率的に大手、中小のメディアで取り上げてもらえることがあります。それが成功するとそうしたメディアを常日頃情報源として見ているソーシャルメディアユーザーにも情報が伝わり情報拡散をしてくれるきっかけを作ることが可能です。
以上がSEOの成功を加速化するためのソーシャルメディアの活用方法です。
重要なポイントはソーシャルメディアでは直接商品を売り込まないということです。
ソーシャルメディアは人と人が交流する社交場であることを忘れずに彼らが望む情報を予測し、それを継続的に発信することが最も確実なソーシャルメディア活用方法です。
こうしたソーシャルメディアを始めとするトラフィック獲得手段を最大限活用するとともに、他者のサイトからの被リンクを獲得するには自社サイトのコンテンツの質が問われることになります。そしてユーザーが真に求めるコンテンツを提供できたサイトだけが人気サイトになることが可能になります。それを実現するための原動力となるのは企画力です。
このようにSEO技術の3要素:
1、企画・人気要素
2、内部要素
3、外部要素
はそれぞれが密接に絡み合う不可分の要素であり、良い企画が人気のある内部要素をもつサイトを作り、人気のあるサイトは良質な被リンクと、ソーシャルメディア等からの膨大なトラフィックを集めるというサイクルなのです。
次のページ:アクセス解析ツール
前のページ:ドメイン内ブログとソーシャルメディア