1、被リンク元の数と質
「第2章 Googleの特徴」でも述べたようにGoogleは創業以来、外部ドメインのサイトからのリンクを検索順位決定のための重要な手がかりにしてきました。
被リンク元の数
その一つが被リンク元の数です。特定のサイトへリンクを張っている外部ドメインの数が多ければ多いほどリンクを張られたサイトは人気があり価値が高いはずなので検索順位が上がるべきだという発想です。
これは学術論文の参照情報をモデルにした考えだと言われています。つまり、様々な学術論文の中で参照元として紹介される文献は多くの学者から信頼されている価値が高い情報のはずだという発想です。
そうした価値の高い情報を持つ文献はその分野のおすすめランキングで上位にランクインされるべきだというのをそのままWebサイトのランキングに応用したのが初期のGoogleの特徴でした。
この発想を図にすると次のようなものになります。次ページの図の左にあるページAは2つの外部ドメインのサイトからリンクが張られています。
一方、右にあるページBは5つの外部ドメインのサイトからリンクが張られています。
この場合、参照しているつまりリンクを張っているサイト数が多いページBの方が人気が高いはずだというのが初期のGoogleの考え方でした。
被リンク元の質
しかし、この考え方に限界が生じました。原因は参照という本来の目的ではなく、検索順位を上げるためだけにやみくもに被リンク元の数を増やすという行為が一般化してきたからです。
つまりSEO目的のためのリンクを販売する企業や個人が急増し、それを購入するサイト運営者も急増しSEO目的のリンク市場が世界中に形成されたのです。
被リンク元の数だけではなく質を評価する基準をGoogleは年々増やし、不正なリンク購入の効果は年々低下するようになりました。質を評価する基準として代表的なものとしては:
1、ページランク
2、オーソリティー
3、クリックされているか
4、自然なリンクかどうか
があります。
ページランク
第2章「Googleの特徴」で述べたようにGoogleはインデックスしたWebページ1つ2つにページランクをつけています。ページランクは2016年3月まで発表していましたが現在ではその発表を停止しています。しかし、一般には公表してなくても現在でも検索順位算定において使用されていると言われています。
ページランクという数値を活用することにより被リンク元のページランクも考慮されるようになっています。ページランクが低いたくさんのページからリンクを張られているページよりも少数でもページランクが高いページからリンクを張られている方が上位表示される傾向がGoogleにはあります。
オーソリティー
次に被リンク元の質を測る指標としては被リンク元サイトのオーソリティー、つまり権威性があります。ある特定の分野で多くのユーザーに支持されている企業や団体のサイトや、たくさんのファンを抱える人気サイトはその分野で権威があるサイトです。
権威があるサイトからリンクを張られているページの方が、そうではないサイトからしかリンクを張られていないページよりも検索順位が高くなる傾向があります。
クリックされているか
Googleが公開している技術特許の1つに陽性リンクと陰性リンクの判別に関する特許があります。
陽性リンクというのはユーザーにクリックされているリンクのことで通常、陽性リンクはページ内の比較的目立つ部分にあります。一方、陰性リンクはユーザーにクリックされないリンクのことで多くの場合、ページ内の目立たない部分にあります。
このGoogleの特許によると陽性リンクは高く評価され、陰性リンクは高く評価されないということです。
自然なリンクかどうか
自然なリンクのほうが不自然なリンクよりも高く評価され上位表示に貢献します。自然なリンクの基準はたくさんありますが、その中でも代表的なものとしてはアンカーテキスト中に記述された内容についてです。
アンカーテキストというのは
<a href="http://suzuki-koumuten.com">鈴木工務店</a>
というように<a>と</a>の間に記述された「鈴木工務店」というテキスト部分の事を言います。
この部分に「鈴木工務店」というアンカーテキストが書かれるのはよく見られる形ですが、この部分に「工務店 神奈川」と入れるのは不自然です。
何故なら通常、人は他人のサイトにリンクを張るときにサイト名か、会社名をアンカーテキストにしてリンクを張るか、URLをそのままアンカーテキストにしてリンクを張るからです。
【自然なアンカーテキストの例】
<a href="http://suzuki-koumuten.com">
鈴木工務店
</a>
<a href="http://suzuki-koumuten.com">
http://suzuki-koumuten.com
</a>
【不自然なアンカーテキストの例】
<a href="http://suzuki-koumuten.com">
工務店 神奈川
</a>
にも関わらず「工務店 神奈川」と入れてリンクを張るのはあたかも「工務店 神奈川」というキーワードで上位表示を目指しているかのようです。
こうした不自然なアンカーテキストが1つ2つ程度あるなら良いのですが、何十も、何百ものサイトにあればそれはSEOのためだけのリンク対策をしているのではないかとGoogleに察知されて検索順位は上がりません。それどころか、リンクに関するペナルティーを与えられて検索順位が大きく下がる可能性が生じます。
被リンク元の増加率
Googleが見ている被リンク元の3つ目の特徴は被リンク元の増加率だということがGoogleの技術特許を分析するとわかります。
何故、増加率をGoogleが見るのかというとペンギンアップデートが実施された2012年以前までのSEOではとにかく被リンク元の数を増やせば検索順位が上がっていた傾向が非常に高かったため、急激に被リンク元が増える理由は過度なSEOをしている証拠になることがあったからです。
急激に被リンク元が増えること自体には問題はありません。多くのユーザーが見たい情報がサイトに掲載されれば検索エンジンを通じて多くのユーザーがそのサイトを訪問します。そしてその情報を他の人達も知ってもらいたいと思った時、サイトを管理しているサイト管理者の多くが紹介をするためにそのサイトにリンクを張ることがあるからです。
しかし、その場合単に被リンク元が急激に増えるだけではなく、同時にそのリンクをクリックして訪問するユーザーも比例して増えるはずです。
しかしSEO目的のためだけにリンクを張った場合、そのリンクをクリックする人達の数はほとんどいません。そのためたくさんのアクセスが発生することはなく、単に被リンク元の数だけが増えるという結果になります。
Googleはこのように被リンク数の増加率とそのリンクを辿って訪問したアクセス数を比較しているのです。
そして被リンク数だけが急に増えてそれにともなったアクセス数が増えない場合はそのリンクは不正なSEO目的だけのリンクではないかと疑うようになります。
短期間で検索順位を上げるためにはまとめてたくさんのサイトからリンクを張ってもらうことが2012年前までには当たり前のように行われていました。
一定の料金を払えば多数のリンク集に登録してリンクを張ってくれたり、多くのブログで紹介記事を書いてリンクを張ってくれるというサービスがありました。
そうしたサービスを利用すると利用した時だけ一気にリンク元の数が増えます。それ以外の時期にはリンク元の数はほとんど増えません。
Googleはこうした特徴を捉えて不正リンクを集めたサイトを見つけ出しペナルティーを与えるようになった現在、こうしたサービスを使うことは避けなくてはなりません。
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