「ポータルサイト」を企業が集客に使う際の注意点

ウェブを活用した集客は、多くのビジネスにとって重要な要素となっています。その中でも、特にポータルサイトの役割は非常に大きいと言えます。ポータルサイトとは、簡単に言えば、ウェブ上の様々なサービスや情報を一箇所に集約し、利用者が簡単にアクセスできるようにまとめられたウェブサイトです。

目次

ポータルサイトの起源と進化

ポータルサイトの起源について考えてみましょう。昔は、Yahoo!JAPANやLivedoor、BIGLOBEといった総合ポータルサイトが主流でした。これらのサイトでは、単にウェブ検索機能を提供するだけでなく、様々な店舗や企業の情報を一か所に集約していました。日本で最も成功した総合ポータルサイトの例としては、Yahoo!JAPANが挙げられます。Yahoo!JAPANでは、旅行、オークション、ショッピング、メールなど、ほとんどの情報が集積されており、総合ポータルサイトとしてほぼ唯一の勝ち残った企業と言えるでしょう。

このように、ポータルサイトは多様な情報を一つの場所で提供することで、利用者にとって非常に便利な存在です。ビジネスを運営する上で、ポータルサイトをうまく活用することは、大きな集客チャンネルとなり得るため、その重要性は今後も高まることでしょう。

総合ポータルサイトと専門ポータルサイト

総合ポータルサイトは、「水平検索」とも呼ばれ、ウェブ上のさまざまな情報を幅広く、しかし浅く集める特徴があります。この種のサイトは、かつてはウェブ検索の主流でしたが、Googleのような企業の登場によって、その存在意義が大きく変わりました。Googleは、キーワードを基に検索を行う「キーワード連動型」の検索エンジンです。例えば、ユーザーが「名古屋でホテル予約」と検索すれば、Googleは速やかに関連する情報を提供します。同様に、「ソファー 通販」と検索すれば、ソファーに関する情報が表示されます。このようなキーワード連動型の検索が主流になり、水平検索を基本とする総合ポータルサイトは、Yahoo!JAPANを除いてほとんどが市場から姿を消しました。

一方で、特定の業種に特化したポータルサイトは、「垂直検索」として知られています。これは、一般的な情報ではなく、特定の分野に深く特化した内容を提供することが特徴です。例えば、食事の予約やレビューに特化した「ぐるなび」や「食べログ」、結婚準備に特化した「ゼクシィ」、美容に関する情報を集めた「アットコスメ」、法律相談に特化した「弁護士ドットコム」などがあります。これらの業種別ポータルサイトは、その分野に特化した情報の提供によって、ユーザーに深い価値を提供しています。そのため、総合ポータルサイトが減少する中でも、これらの専門的なポータルサイトは依然として重要な役割を担っているのです。

ポータルサイトの具体例

ウェブ上での検索結果とその背後にあるポータルサイトの役割について、具体的な例を交えながら考察してみましょう。ある日、筆者はGoogleで「美容室 表参道」というキーワードで検索を試みました。その結果、上位に表示されたのは、一般の美容室ではなく、ホットペッパービューティーや楽天ビューティー、OZmallといったポータルサイトでした。これらのサイトは、様々な美容室の情報を集約しており、ユーザーにとっては非常に便利な一方で、個々の美容室の公式サイトが検索結果で見えにくくなっているという現象が起こっています。時には、検索結果の上位1位から10位までがすべてポータルサイトで占められることもあります。

次に、「相続弁護士」というキーワードでの検索を試みた際も、同様の現象が見られました。検索結果の上位には、例えば「相談広場」といった弁護士事務所を紹介するポータルサイトが登場します。これらのサイトでは、多数の弁護士事務所がリストアップされ、ユーザーは直接その詳細を閲覧し、問い合わせができるようになっています。これにより、ユーザーは個々の弁護士事務所の公式サイトを訪れることなく、ポータルサイト内で必要な情報を得て手続きを進めることができます。

このように、ウェブ上での検索結果において、業種別ポータルサイトが上位を占める傾向が強まっています。これは、ユーザーにとっては検索結果から直接関連情報を得ることができるため便利ですが、一方で個々の企業やサービスの公式サイトの露出が減少するという側面も持っています。ウェブ検索のこのような動向は、今後も私たちの情報収集の方法に影響を及ぼし続けるでしょう。

ポータルサイトの利用におけるリスクと注意点

ウェブのポータルサイトは、多くのビジネスにとって重要な集客ツールとなっていますが、その使用には一定のリスクが伴うことを認識する必要があります。ポータルサイトを利用する最大のメリットの一つは、例えばEparkのような地域ポータルサイトを通じて直接予約ができる点です。これにより、店側は顧客管理が容易になり、予約システムの運用も効率化されます。しかし、この利便性の裏には、ポータルサイトへの過度な依存が潜んでいます。

一例として、ポータルサイト経由で大量の予約や売上が立つビジネスがあるとします。当初は一件あたりの紹介料が1000円だったものが、いつの間にか2000円に上昇する可能性があります。これは、ポータルサイトが値上げを行うトレンドにあることを示しており、掲載料金や成果報酬型の料金も上昇傾向にあります。最悪の場合、利益がなくなり、ビジネスが持続不可能になる恐れもあります。

また、ポータルサイトから離れると、今度は顧客が減少し、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。その結果、スタッフの解雇といった厳しい選択を迫られることもあるでしょう。このように、ポータルサイトを活用する際には、依存しすぎないよう注意することが重要です。ポータルサイトは効果的なツールでありながら、そのリスクを理解し、慎重に取り扱う必要があるのです。このバランスを保つことが、ビジネスの健全な成長と持続可能性にとって鍵となります。

ポータルサイトのメリットとデメリット

企業が集客のためにポータルサイトを利用する最大のメリットは、即効性にあります。例えば、あるお店がポータルサイトに掲載された場合、その日のうちに効果が表れ、短期間での集客効果が期待できます。これは、ポータルサイトがGoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位に表示されるため、アクセス数が非常に多いことに起因します。掲載されることにより、そのサイトを訪れる人の数が著しく増え、結果として集客につながるのです。

一方で、デメリットも存在します。特に、効果の高いポータルサイトにおいては、掲載料金が高騰する傾向にあります。たとえば、Indeedなどの求人ポータルサイトでは、掲載料金が以前の2倍に跳ね上がったという話もあります。さらに、その効果が知れ渡り、より多くの企業が利用するようになると、料金はさらに上昇する可能性があります。これにより、最終的に採算が合わなくなり、企業にとって厳しい状況に陥ることも考えられます。

ポータルサイトの利用は、即効性があり、短期間での集客が見込める反面、掲載料金の高騰というリスクも伴います。これらのメリットとデメリットをしっかりと理解し、バランスを取りながら利用することが重要となってきます。

ポータルサイトは非常に便利なツールですが、そのリスクを理解し、適切に活用することが求められます。ポータルサイトと独自のウェブサイトを上手く組み合わせることで、ビジネスの成長と持続可能性を支えることができるのです。ポータルサイトの未来は、ますます進化し、多様化していくでしょう。ポータルサイトを活用しようとする企業は、その変化に柔軟に対応し、最適な集客戦略を模索し続ける必要があります。

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ウェブマスター検定公式テキストの著者。他にSEO検定公式テキスト、世界一やさしい ブログSEOの教科書 1年生等、SEO、ウェブマーケティングの著書多数。
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