今回は、インターネットの歴史についてさらに深く掘り下げていきます。
今回は、それらの応用技術の一つである「Telnet」(テルネット)についてです。Telnetは「Telecommunication network:テレコミュニケーションネットワーク」の略で、遠隔地にあるサーバーやネットワーク機器を自分の端末から操作するための通信プロトコルを指します。これは、単純に言うと、タイピングを通じて通信する方法です。
Telnetの歴史
Telnetは、インターネットの初期の歴史と密接に関連しています。1960年代後半から1970年代初頭にかけて、ARPANETプロジェクトの一環として開発されました。
Telnetプロトコルの開発は、多くの研究者や技術者による共同作業の結果であり、その具体的な開発過程はいくつかの段階を経て進行しました。当時、コンピューターサイエンスの分野は急速に発展しており、多くの大学や研究機関がこの新しい技術の開発に関与していました。
インターネットでは「クライアント」と「サーバー」という2つの重要な概念があります。クライアントとは、依頼人という意味で、ここでは何かをリクエストするユーザーのことを指します。例えば、あなたがサーバーに対して「日本の歴史を教えて」とリクエストすると、サーバーはそのデータベースから情報を検索し、あなたの端末に情報を送信します。これは、様々なネットワーク経由で行われます。
過去のコンピューター操作は現代とは大きく異なっていました。例えば、Windows 3.1やWindows 95の時代には、真っ黒な画面にコマンドをタイピングしてサーバーに命令を出していました。これは現代の机の上を模したデスクトップ上のグラフィカルインターフェースとはかけ離れた操作環境で、マウスの代わりにコマンドラインを使っていました。
Telnetのコマンド例
Windows 3.1やWindows 95の時代によく使用されていたTelnetコマンドは、現代のグラフィカルインターフェースとは異なる操作環境でした。これらのコマンドは主にサーバーへの接続や管理に使われていました。その時代のTelnetコマンドの例としては次のようなものがあります。
① 接続の開始: `telnet [ホスト名] [ポート]`
・例: `telnet example.com 23`
・このコマンドは、指定されたホストとポートに対してTelnetセッションを開始します。
② ユーザー名の入力: `login [ユーザー名]`
・例: `login user123`
・このコマンドは、サーバーにログインするために使用されます。
③ パスワードの入力: (直接パスワードを入力)
・ユーザー名の後、パスワードを求められることが多く、直接パスワードを入力します。
④ ディレクトリの変更: `cd [ディレクトリ名]`
・例: `cd /home/user`
・このコマンドは、現在のディレクトリを変更します。
⑤ ファイルリストの表示: `ls`
・このコマンドは、現在のディレクトリにあるファイルとフォルダの一覧を表示します。
⑥ ファイルの編集: `vi [ファイル名]`
・例: `vi example.txt`
・このコマンドは、viエディタを使用してファイルを編集します。
⑦ システム情報の表示: `uname -a`
・このコマンドは、サーバーのシステム情報を表示します。
⑧ 接続の終了: `logout` または `exit`
・このコマンドは、Telnetセッションを終了します。
これらのコマンドは、当時のオペレーティングシステムや環境によって異なる場合がありますが、基本的なコマンド操作の例です。
このように、Telnetは遠隔地のサーバーに対してクライアントが命令を出すためのプロトコールです。
Telnetは、Unix、Linux、Windows、macOS、FreeBSD、Solaris、NetBSD、OpenBSD等ほとんどのOS(オペレーティングシステム)で利用できます。
そして多くのサーバーOSにもデフォルトでインストールされています。
Telnetのメリット
Telnetのメリットについて掘り下げてみましょう。Telnetの最大のメリットは、長距離の物理的な移動が不要になることです。もしTelnetがなかったら、サーバーの操作のために電車や飛行機を利用して遠隔地まで行く必要がありました。しかし、インターネット技術、特にTelnetによって、遠隔地のコンピューターをコマンドラインからコマンドを打ち込むだけで操作することが可能になりました。これは非常に画期的なことです。
実は、マイクロソフトの創業者であるビルゲイツ氏や彼の共同創業者アレン氏も、学生時代にTelnetかその原型となる技術を利用していました。当時はパソコンがまだ普及しておらず、彼らは遠隔地の大学のコンピューターにアクセスしていたのです。当時はパソコン自体が販売されていなかったので非常に高価な大型コンピューターしか存在しなかったからです。このような技術がなかったら、マイクロソフトは生まれなかったかもしれません。Telnetはコンピューター普及へ大きな貢献をしたのです。
現代では、ほとんどの企業や個人が独自のパソコンやスマートフォン等のデバイスを持っています。今のスマートフォンは、当時の大型コンピューターに匹敵するほどのパワーを持ち、手のひらに収まるほどに小型化されています。これにより、私たちは非常に恵まれていると言えます。パソコン、タブレット、スマートフォンなどを利用して、多くの生産的なことが可能になりました。
この恵まれた時代に生きている私たちは、コンピューターとインターネットを使って生活を豊かにするべきです。仕事でのパソコンの利用は、まず自分が働く企業のために使いましょう。そうすればお金をもらいながら勉強ができるようになります。そして、コンピューターやインターネット、ウェブマーケティングを学ぶことは、周囲の人々に貢献するために行うのです。自分自身のためだけに学ぶよりも人のために学ぶほうが真剣に学ぶことができるはずです。これは結果的に自分自身の利益にも繋がります。
Telnetの発展形「SSH」
セキュリティ上の理由から、現代ではTelnetはあまり使用されず、より安全なSSH(Secure Shell)に置き換わっています。
しかし、Telnetの発明により、遠隔地からのコンピュータ利用が増加し、コンピューターの素晴らしさが世界中、日本中に知れ渡りました。そして、本格的なコンピューターの時代、パソコンの時代が訪れました。Telnetは、コンピューターの普及に大きく貢献した技術であると言っても過言ではありません。