今回は、インターネット技術の重要な構成要素であるSMTPについて解説します。SMTPは「シンプルメールトランスファープロトコル」の略で、その名の通り、電子メールの送信に使用されるシンプルで基本的な通信プロトコル(通信規約)です。
電子メールが普及する前は、人々は手紙を書いて郵便で送る必要がありました。手書きで手紙を書き、郵便局に行って切手を買い、送付するという過程を経て、相手に届けられるまでには数日かかることが普通でした。受け取った相手がいつ返信してくれるかもわかりませんでした。しかし、電子メールのおかげで、このような時間を要するプロセスは必要なくなりました。
現在では、電子メールを使用することで、パソコンやスマートフォンからすばやくメッセージを送信できます。これにより、郵便局に行く必要もなく、文房具を使うこともほとんどなくなりました。瞬時に相手にメッセージを届けることができるため、コミュニケーションが劇的に速くなりました。
もちろん、現代の電子メールは迷惑メールや売り込みメールで溢れがちですが、それにもかかわらず、電子メールは便利で重要なツールです。私たちは、タイピング一つで瞬時に情報を共有できるという恵まれた世界に生きているのです。
SMTPプロトコルを使うことにより、例えばAさんが自分のパソコンでメールを送信すると、そのデータはまずAさんが加入しているプロバイダーのメールサーバーに届きます。プロバイダーとしては、NTT、ソネット、ジェイコム、ソフトバンク、ドコモ、auなどがあり、これらはスマートフォンや携帯キャリアの会社が提供するメールサービスも含んでいます。
メールサーバーに届いたデータは、その後インターネットを経由して送信されます。たとえば、アメリカにいる友人へのメールは、太平洋を渡り、友人が加入しているプロバイダーのメールサーバーに蓄積されます。そして、友人がメールをチェックすると、ほぼ瞬時にメールが転送されます。このプロセスは通常、数秒で完了します。
そして返信があると、そのメールは送信者のプロバイダーのメールサーバーに戻り、ダウンロードボタンを押すか自動受信設定に従って、受信者に届けられます。
《SMTP情報を入力するメールソフトの設定画面》
GoogleのGmailの場合、Googleが運営するサーバーにメールが蓄積され、そこからGmailユーザーに情報が伝送されます。
現在(2023年12月)、Gmailは世界中で広く利用されており、約60%の利用率を誇っています。日本でも、仕事用メールアドレスでは63.4%、個人用メールアドレスでは65.9%と、どちらも最も多く使われています。Gmailは世界で最も多く使われているメールサービスで、今後も利用者は増え続けると思われます。
Gmailが人気の理由としては:
・無料で使えること。
・容量が無制限であること。
・迷惑メールへの対策が優れていること。
・スマートフォンやタブレットなどのデバイスで使いやすいこと。
などがあります。
《出典》
株式会社キューノート・ジャパン「2023年版 メールマーケティング実態調査」
Statista社「Global market share of email providers as of December 2023」
また、Gmailの利用は20代から30代の若い世代に特に高いです。これは、この世代がスマートフォンやタブレットを日常的に使っていること、そしてGmailがこれらのデバイスで使いやすいことが理由とされています。
以上が、SMTPの意味と私達の世界に及ぼした影響についてです。次回はTCP/IPを応用した6つの技術の1つである FTPについて解説します。