ブログの役割とそのSEO効果

前回は、ブログとは何か?その意味と普及の理由について解説しました。

今回は、ブログの役割とそのSEO効果について解説します。

目次

すべての投稿内容はデータベースに記録される

ブログの大きな特徴の一つは、入力された内容がすべてデータベースに記録される点です。これは、WordPressのようなブログシステムで顕著に表れています。

従来のホームページ作成ツールやテキストエディタを使用してウェブサイトのソースコードを書く際、ページのファイルは物理的に作成されてサーバー上に保存されます。しかし、WordPressのようなブログシステムには、物理的なHTMLファイルが存在しません。ユーザーがあるページにアクセスすると、サーバーはその要求に応じて、データベースから情報を引っ張り出し、設定されたウェブデザインに情報をはめ込んで、瞬時にページを作成します。このページはユーザーのブラウザに表示されますが、ユーザーがページを見なくなると、しばらく経過後にはブラウザから消滅します。

このシステムは「オンデマンド」と呼ばれます。つまり、ユーザーがサービス提供者に何かを要求すると、その要求に応じてサービスやコンテンツが提供されます。この場合、ユーザーがブログを訪問した瞬間にウェブページが作成されるのです。これは、従来の方法とは大きく異なり、訪問するまでページは存在しないという、非常にユニークなシステムです。

更新のしやすさがSEOに良い影響を与える

ブログのこの機能は、SEO(検索エンジン最適化)にも大きな影響を与えます。ブログのページは、ユーザーの要求に基づいて瞬時に生成されるため、最新の情報を常に提供することが可能です。本来、ウェブページの内容を更新するには、そのページのファイルをテキストエディターやホームページ作成ソフトで開いて編集します。それだけでなく、そのページに関連する他のページにも更新が必要な場合はそのページも同じような手順で編集るする必要があります。しかし、ブログのシステムでは、管理画面で編集したい場所を編集するだけで、そのページだけでなく、他の関連するページも瞬時に更新することができます。これは非常に画期的なことで、かなりの作業時間の短縮になります。

これにより、サイト運営者はサイトの更新がしやすくなり、サイトの更新頻度を高めることが可能になります。サイトの更新頻度が高まるとGoogleなどの検索エンジンによるサイトの評価が高まり検索順位が上がり、ウェブサイトの訪問者数が増加する可能性が高くなります。ブログは、革新的な技術を駆使してウェブ上での情報発信のあり方を大きく変えました。

誰もが気軽に情報発信できるようになった

こうした便利さによって、ブログは誰もが気軽にウェブページを作成し、自分の考えや意見を発信することを可能にしました。ブログの登場により、これまでウェブの知識がなかったり、伝統的な情報発信の手段にアクセスできなかった人々も、自由に声を上げることが可能になったのです。

例えばブログが普及し始めた当時、ホリエモンさんやサイバーエージェントの藤田晋社長のような人物が、ブログを通じて情報発信を始めました。ホリエモンさんはもともとWeb開発者でしたが、藤田社長は営業の経歴を持つ人物です。それまでウェブページを持つことが難しかった営業の専門家でさえも、ブログを使って効果的に情報を発信できるようになりました。藤田社長は、自身のブログとサイバーエージェントが開発したアメブロによって、さらに知名度を上げました。

このように、ブログは、ウェブの専門知識がない人々にも情報発信の場を提供しました。当時の人気アーティストや芸能人、例えば浜崎あゆみさんやモーニング娘のメンバーなども、ブログを活用して自らのメッセージを世界に届けることができました。これにより、これらの人々の人生が新たな方向に開かれるきっかけとなったのです。

商品・サービスの口コミが広がるようになった

さらに、ブログは一般の消費者にも製品やサービスに対する感想を自由に表現する機会を与えました。たとえば、釣りが好きな人がブログを立ち上げ、特定の釣竿やリールについてのレビューや、特定の釣り場の情報を共有することができるようになりました。これらの情報発信者は、従来はウェブの知識がなかった人々ですが、ブログの登場により、自分の知識や経験を広く共有することができるようになりました。

この変化は、デジタルに強い人々とそうでない人々との間の情報格差をなくしました。以前は、デジタルに精通した人々のみが情報発信の手段を持っていましたが、ブログの出現により、デジタルに不慣れな人々も同等の立場で情報を共有できるようになりました。

新しいニュースメディアの形態の誕生

ブログの出現によって、ジャーナリストたちも大きな恩恵を受けました。彼らは、ベトナムやミャンマーなど、世界中の様々な場所で取材を行い、その情報を自由に報道することが可能になりました。これにより、新しいニュースメディアの形態が生まれました。例えば、ハフィントンポストのようなオンラインメディアがこれに該当します。

また、社会的出来事についての論評も変化しました。才能があっても情報発信ツールがなかったために埋もれていた多くの人々が、ウェブとブログのおかげで、情報発信の場を得ることができました。これにより、彼らは一段上のレベルへと昇りつめ、情報を広く共有することが可能になりました。

ブログからソーシャルメディアに

さらに、ブログの影響は現在のソーシャルメディアにも及んでいます。X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、TikTokなどのプラットフォームでは、より簡単に情報を発信できるようになっています。これらのプラットフォームの根底には、ブログによって生み出された情報発信の自由とアクセシビリティがあります。実際に、X(旧Twitter)はもともとは140文字以内でユーザーが経験したこと、感じたこと、伝えたいことをつぶやきとして投稿できる「ミニブログ」という形で広がっていきました。

そのミニブログはテキスト主体でしたが、画像を主体にしたのがInstagramです。Instagramは画像を主体にしたミニブログだともいえます。

また、テキストを書くのは苦手でも、動画や音声でならコンテンツを作れる人たちがYouTubeやTikTokを使って情報発信をするようになりました。こうした人気ソーシャルメディアの原型はブログにあるといっても過言ではありません。

無料ブログサービスはビジネス目的には適していない

ブログを始めたい方にとって、最も手軽な方法は無料ブログサービスの利用です。例えば、アメブロやライブドアブログなどがあります。これらのサービスでは、誰でもすぐにブログを立ち上げることができ、数百種類以上のテンプレートデザインから好きなものを選ぶことが可能です。はてなブログのようなサービスもあり、ここではさらに高品質な情報が提供されていることが特徴です。

しかし、無料ブログサービスにはいくつかの制約があります。たとえば、ブログに広告が掲載されることが多く、ビジネス利用には向いていないという側面があります。特に、自分が書いたブログにライバルサイトの広告が表示されると、せっかくの訪問者が競合する商品やサービスに流れてしまう可能性があります。

さらに、多くの無料ブログサービスでは商用利用が禁止されているか、あるいは歓迎されていないことがありますので、なおさら無料ブログサービスはビジネスには不向きです。

このように、ビジネス目的でブログを使う場合は、無料ブログサービスではなく、商用利用が可能で、よりカスタマイズが自由なプラットフォームを選ぶことが重要です。個人的な使用には無料ブログサービスが便利ですが、ビジネス用途ではプロフェッショナルなアプローチが求められます。ブログはSEOに大きな効果を持ちますが、そのポテンシャルを最大限に活用するためには、適切なプラットフォームの選択が不可欠です。

ビジネスや副業としてブログを利用したい場合、無料ブログサービスではなく、独自ドメインブログを選ぶことが重要です。独自ドメインブログは、プロフェッショナルな印象を与え、ブランドの一貫性を保つことができます。企業がブログを運営する際の具体例として、電話代行サービスを提供する私のクライアントを挙げてみましょう。このクライアントは公式サイトの中に「電話代行メディア」というブログを設置しています。

企業の公式サイトが使っているドメイン内にブログを設置することは、SEOやブランディングにとって最適な方法です。何故なら、公式サイト内にあるブログ記事に検索にかかり、その記事を見たユーザーが記事を提供している企業のことを知るきっかけになるからです。

ブログ専用の別ドメインを作成することも可能ですが、その場合、ブログの内容は公式サイトのドメインの一部としてカウントされません。例えば、www.shibuya-blog.jpというドメインでブログを運営しても、本来の公式サイトのドメインであるwww.shibuya-office.co.jpのサイトの資産にはならないのです。これは、ブログのコンテンツが企業の公式サイトのドメインの中に存在していないため、SEOやブランディングの面でのシナジーを生み出しにくいことを意味します。

結論として、ビジネスでブログを利用する場合、公式サイトの中に新たにブログ用のディレクトリを設定して、そのディレクトリでブログを運営してそこにブログ記事を投稿するのがベストな選択となります。これにより、ブログ記事をそこに投稿すればするほどブログだけでなく、そのブログが属する公式サイトの情報メディアとしての価値が高まり、企業は効果的なオンラインマーケティングを展開し、ブランドの認知度を高めることが可能になるのです。

企業がブログを書く目的とそのSEO効果


企業がブログを書く目的とそのSEO効果について、もう少し詳しく見てみましょう。企業がブログを書く主な目的は、サイトの売上を増やすことにあります。この目的を達成するためには、これまで述べてきたようにブログをメインサイトの一部として設置することが重要です。

別のドメインを購入して、そこでブログを書くというアプローチは、企業の公式サイトの情報資産にはなりません。この方法では、公式サイトのアクセス数は増加せず、SEO効果も得られにくくなります。一方で、公式サイト内にブログを設置すると、ページを増やすたびに企業のサイトの情報資産が増え、Googleによるサイトの評価が向上しSEOに有利になります。

具体的には、ブログに複数のページを追加すると、それらはすべて企業のサイトの一部として評価されます。例えば、4つの記事を書けば、企業のサイト内に4つのページが生成され、それぞれが情報資産として評価されます。これにより、検索エンジンでの評価が高まり、様々なキーワードで上位表示されるようになる可能性があります。つまり、メインサイト内にブログを設置することは、SEOに非常に効果的な戦略と言えるのです。

このアプローチにより、企業はサイトのアクセス数を増やすと同時に、オンラインでの見つけやすさと影響力を高めることができます。ブログは、企業のオンラインプレゼンス(ウェブ上での存在感)を強化し、デジタルマーケティングの効果を最大化するための重要なツールとなるのです。

WordPressはブログとして誕生したがウェブサイトのCMSとして利用されるようになった

WordPressは独自ドメインブログを作成する際に最もおすすめされるブランドです。その理由はいくつかありますが、最も重要なのは、WordPressを使用しているブログが非常に多いことです。実際、半数以上のブログがWordPressで作られています。

WordPressは、正式にはCMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれており、Webコンテンツを管理するのに非常に適しています。この無料ツールの魅力は、ブログだけでなく、ウェブサイト全体も作成できる点にあります。WordPressはその使い勝手の良さと無料ソフトだという大きなメリットがあるため、ウェブサイトを制作するためのCMS(コンテンツ管理システム)として使われるようになりました。これがWordPressが持つ最も大きな特徴です。WordPressではメールを書く感覚で簡単に新しいウェブページが追加できることと、そのページを編集するのもメールやWordを編集する感覚でできることがウェブ制作の知識を持たない企業の一般事務職の人たちから大きな支持を獲得できたのです。

《WordPressの管理画面にある記事作成画面》

通常のページ追加や、更新業務は一般の事務職の人や、小さな会社や個人事業の場合は経営者自らがウェブ制作の知識無しでできるようになり、さらにWordPressというCMSで作られたウェブサイトは世界中に増えました。そして技術的なトラブルや高度なカスタマイズが必要な時は、外部の専門業者に業務を依頼するという流れが生まれました。

国内外には、WordPressに詳しい技術者が多数存在します。ほとんどのWeb制作会社は、WordPressに精通しており、トラブルが起きたり、見た目の改善や機能追加が必要な場合、WordPressを使用することが非常に有利です。運用が効率的で、費用も安く済みます。

以上が、ブログの役割とそのSEO効果についてです。ブログは誰もが情報発信を気軽にできるようにするためのツールとして誕生し、WordPressというもともとはブログシステムとして生まれたツールが、その利便性から、企業サイトのコンテンツを管理するCMSとして進化をしていきました。

あなたの情報発信をするためのすべてのツールは揃っています。あとは、それらのツールを使ってあなたの考え、御社の取り組みをブログ記事として投稿するだけです。それを続けることにより必ずあなたの未来が変わるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

ウェブマスター検定公式テキストの著者。他にSEO検定公式テキスト、世界一やさしい ブログSEOの教科書 1年生等、SEO、ウェブマーケティングの著書多数。
→ 著者紹介

目次