FTPの意味
FTPとは、File Transfer Protocolの略で文字通り「ファイルを転送するための通信規約」という意味です。このプロトコルは、私たちの日常生活にも大きく影響しています。たとえば、あなたが会社でパワーポイントのファイルを作成し、それを本社の人に送る際にFTP技術を使用すると、一瞬でデータを相手に送ることができます。地理的な距離は問題ではありません。北海道から東京、沖縄から大阪、ニューヨークからパリ、東京から中国まで、どこへでもほぼ瞬時にファイルを転送することが可能です。
FTPを利用するには、自分のパソコンにFTPクライアントソフトウェアをインストールします。そしてFTPクライアントソフトを起動すると画面の左側が自分のパソコンのファイル一覧で、右側がサーバー側のファイルの一覧です。
自分のパソコンのファイルを選択して、右側にあるサーバー側のファイル一覧のところにファイルをドラッグ＆ドロップするだけで自分のパソコンからサーバーにファイルを転送できます。
FTPサーバーは、ウェブサイトを見るためのウェブサーバーとは異なります。FTPサーバーは特にファイルのやり取りのために存在し、FTPプロトコルという独自の通信契約に基づいてデータを転送します。この技術により、世界中どこからでも迅速かつ効率的にファイルを共有することが可能になります。
FTPのメリット
FTPのメリットに焦点を当てると、主な利点は、遠隔地にあるサーバーへ簡単にファイルを転送できることです。これにより、ウェブサイトの更新も容易になります。例えば、ウェブサイト上にあるトップページのファイルに新しい情報を追加したい場合、ホームページ編集ソフト（例えばホームページビルダーやドリームウィーバーなど）を使用して更新し、FTPを介してその変更をウェブサーバーに転送します。
FTPを用いると、他のユーザーがそのページを閲覧する際に、追加した新しい情報がすぐに表示されます。以前のバージョンを見ていた人も、ブラウザの更新ボタンを押すだけで最新の情報が表示されるようになります。このようにして、ウェブサイトは効率的に更新され、管理が容易になります。
私の経験からも、FTPはウェブサイト制作において重要なツールです。1996年頃、日本でまだウェブサイトを持つ人が少なかった時代に、私は初めてウェブサイトを作成しました。地元のプロバイダーと契約し、FTPソフトを使ってウェブサイトのトップページのHTMLファイルを転送しようとしたものの、最初は上手くいかないことが多く、ブラウザでトップページを見ようとしてもページが見れなくて、私が見たのは真っ白なページでした。しかし、試行錯誤の末に適切なモードでファイルを転送する方法を学び、ウェブサイトを成功させることができました。この経験から、FTPの知識はウェブサイトを制作・管理する上で不可欠であると強く感じています。
この問題は、テキスト系ファイルと画像系ファイルを転送する際に適切なモード（アスキーモードやバイナリーモード）を選択しなければならないという、基本的な知識の不足によるものでした。
この経験から私は、FTPでのファイル転送においては、テキスト系のファイル（例えばHTML）はアスキーモードで、画像やその他のファイルはバイナリーモードで転送する必要があるということを体で覚えることになりました。
後になって本や雑誌で調べたらファイルをインターネット経由で送る時、二つの方法「バイナリモード」と「アスキーモード」があるのだということを学びました。これらは、ファイルをどのように送るかという点で異なるということです。
1.バイナリモード
・ファイルの内容を一切変えずにそのまま送ります。
・写真や動画などのメディアファイル、プログラムファイルなどに適しています。
2.アスキーモード
・テキストファイル（例えば、ワード文書やテキストファイル）を送る時に使います。
・送る前に、改行コード（行が変わるところの記号）を、受け取る側のコンピューターの種類に合わせて変えます。
・例えば、WindowsとMacでは改行コードが異なるので、正しく表示されるように修正します。
簡単に言うと、バイナリモードは「そのまま送る」、アスキーモードは「テキストを正しく表示するために少し変えてから送る」という違いがあるということです。
私はこの問題を解決するために多くの時間を費やし、最終的にはオーストラリアの友人との出会いを通じて解決の糸口を見つけました。この出会いは、インターネットがまだ普及していない時代に、助けを求める人が少なかった中での幸運でした。
私はこのブログを通して、読者のみなさんにインターネットの基本を知っていただき、ただのユーザーではなく、インターネットを活用してご自分の情報やサービスを提供する側に立つことの重要性を伝えたいと考えています。インターネットの技術や原理を理解することで、途中で挫折することなく、より多くの可能性を探求することができるのです。
ユーザーではなく情報やサービスの提供側に立つことの重要性
最近、AI技術が普及し、特にChatGPTのようなプラットフォームが人気を集めています。しかし、多くの人々はインターネットの基本原則を理解せず、新しいテクノロジーやトレンドにただ飛びつく傾向にあります。仮想通貨や投資などの分野への関心も高まっており、これらはインターネットを単に使うだけでなく、深く理解し活用する必要があることを示しています。
インターネットの世界では、知識を持つ人々が開発したサービスや商品を、消費者はお金を払って利用します。売る側の人々は、低い原価でサービスや商品を提供し、通常は大きな利益を得ます。しかし、消費者は、製品やサービスを購入するだけでは、長期的に損をすることもあります。
そのため、インターネットに関する基本原則や知識を学ぶことは重要です。それにより、単なるユーザーから提供者の側に立つことができます。このブログを通じて、インターネットの基本を学び、自身のビジネスやプロジェクトを進め、成功を収める道を切り開いていただきたいと思っています。インターネット技術の深い理解は、情報をただ消費するだけでなく、自ら情報やサービスを提供する立場に立つことにつながります。
FTPがあれば誰でも世界に向けて自分の情報を発信できる
FTPは、人々に大きな力を与えるツールです。FTPクライアントソフトウェアをパソコンに適切にインストールすることで、理論上は誰でもウェブサイトを公開できるようになります。
近年、Wix、Jimdo、WordPressなどのCMS（コンテンツマネジメントシステム）の普及により、FTPクライアントソフトウェアを直接使用しなくてもウェブページを作成し、ファイルを転送することが可能になっています。しかし、これらの便利なツールを使えない場面もあり、その際にはFTPの根本的な知識が必要になります。FTPの最大のメリットは、誰でも簡単にウェブサイトを公開し、ファイルを自由に転送できるようになったことです。
また、レンタルサーバー会社と契約することで、ウェブサーバーを利用し、月額数百円から数千円の費用で自分のウェブサイトを開設できます。FTPは、これを可能にした強力なツールです。インターネット技術の進歩に伴い、FTPは依然としてウェブサイトの開設や管理において不可欠な役割を果たしています。
現在の私の日常生活において、FTPクライアントソフトウェアが欠かせないツールの一つです。特にウェブサイトの管理や更新において、このツールの役割は計り知れません。FTPクライアントソフトウェアの使い方を見てみましょう。
MacユーザーがFTPを利用する方法
まず、私のMacには「FileZilla」という便利なFTPクライアントソフトウェアをインストールしてあります。このソフトウェアを使い始める際には、サイトマネージャーにウェブサイトへのアクセス情報を入力する必要があります。ここでは、ホスト名、ユーザーID、パスワードが必須となります。私はこれらを予め設定しており、簡単に接続することができます。
※ https://filezilla-project.org/
接続が完了すると、画面には私が契約しているウェブサーバーの内容が表示されます。このサーバーは、Xサーバーという日本で人気のレンタルサーバー会社によって運営されています。ここから、私は「web-planners.net」というディレクトリにアクセスし、公開ファイルを管理します。公開ファイルは通常、「public_html」というディレクトリに格納されており、これは一般公開されているファイルの場所です。
さて、私のMacのローカルサイトから、未公開のファイルを選び出し、FTPクライアントソフトウェアを用いてサーバーに転送します。このプロセスは単純なドラッグ＆ドロップ操作で行います。転送完了後、ファイルはブラウザを通じて世界中の人々にアクセス可能になります。
WindowsユーザーがFTPを利用する方法
Windowsユーザーも多くはWindows環境で最も人気のあるFTPクライアントソフトウェア、「FFFTP」を使っている方が多いようです。この「FFFTP」は、その使い勝手の良さから、私を含む多くのWindowsユーザーに愛用されています。このFTPクライアントソフトウェアの接続設定も、ホスト名、ユーザー名、パスワードをあらかじめ設定しておけば、接続ボタンを押すだけで簡単にアクセスできます。リモートサイトとして表示されるのは、遠くにあるウェブサーバーです。私がよく利用するのは、「さくらインターネット」というサーバーで、ここもまた東京に位置しています。
※ https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/ffftp/
ファイルのアップロードは、Cドライブから選択したファイルやディレクトリを右クリックして「アップロード」を選択するか、ドラッグ＆ドロップで簡単に行えます。この操作を終えると、転送したファイルは世界中の誰でもアクセス可能になります。
セキュリティーに強いFTPクライアントソフト
最近ではFFFTPよりもセキュリティに強いFTPクライアントソフト「WinSCP」が急速にWindowsユーザーの中で普及するようになりました。私もAmazonのクラウドサービス、AWSを利用するようになった際に使い始めるようになりました。AWSなどのクラウドサービスは、レンタルサーバーとは異なり、無数のサーバーの一部を利用することが可能で、必要に応じて容量を拡大できます。WinSCPの特徴として、公開鍵を使った高いセキュリティが挙げられます。通常のFTPクライアントソフトと異なり、特定のファイルを持たない限りアクセスできないため、セキュリティが大幅に向上します。
セキュリティにこだわる方は、WinSCPをFTPクライアントソフトとして利用することで、安心してウェブサイトの運営が可能になります。完全に無敵というわけではありませんが、高度なスキルを持つハッカーでなければ、容易にアクセスはできないでしょう。セキュリティを重視する方には、このようなソフトの利用をお勧めします。
※ https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/winscp/
何故無料でツールが使えるのか？
FileZillaもFFFTP、WinSCPも無料で使えるツールです。インターネットの急速な普及の背景には、このように無料で利用できるツールが数多く存在することが大きく影響しています。多くのツールは利益を追求するだけでなく、ボランティア精神やフロンティア精神に溢れた開発者によって作られてきました。これらの精神が、インターネットを今日のような大規模なものに育て上げたのです。私たちは、そういった開発者たちの情熱と努力に感謝しつつ、彼らが提供する便利なツールを日々活用しています。
インターネットは、お金がなくても時間があれば、誰にでもチャンスがある場所です。スポーツジムのように、お金を払わないと入れない場所とは異なり、インターネットでは時間と情熱があれば何かを始めることができます。ただし、インターネットを本当に活用するためには、単にサービスを利用するだけでは不十分です。サービスやソフトウェアを提供する側に立たなければ、インターネットを最大限に活用しているとは言えないのです。受動的な立場では、常に提供者側に利益が流れてしまいます。だからこそ、FTPのようなツールを理解し、それを使って何かを創り出すことが重要なのです。
次回はインターネットの別の技術である「IRC」についてご紹介します。
