今回はインターネットの歴史について解説します。インターネットの歴史を知ることは、ウェブ集客の仕事をする上で非常に重要です。全てが順調な時は問題ありませんが、例えばサーバーが壊れたり、通信障害が発生したりした場合、インターネットの技術面について何も知らないと、適切な対応をするのが難しくなります。
また、ウェブの仕事をするには常日頃から新しい技術について学ぶことが重要ですが、インターネットの基本を理解していなければニュースサイトの記事にある技術的な説明を、理解するのが困難になります。
そして、日常業務で同僚や上司、特にIT企業やウェブ系企業の人たちとコミュニケーションを取る際にも、インターネットの基本的な構造や仕組みを理解していないと、コミュニケーションが難しくなります。コミュニケーションが難しくなると仕事が捗らなくなり、最終的にはその仕事が嫌いになることすら有り得るでしょう。
こうした理由のため、私は皆さんにインターネットの根本的な仕組みや歴史について知っていただきたいとずっと思っていました。
インターネットの原型はARPANET
最初に誕生したインターネットの原型はARPANET(アーパネット)と呼ばれていました。これはアメリカの軍事目的で始まったと言われており、今日では軍事目的とはあまり言われなくなっていますが、多くの研究や資料では軍事的要素が強かったとされています。
ARPANETの目的は、アメリカの広大な国土内で、例えばワシントンDCが核攻撃にさらされた場合に重要な情報を保護するために、情報を国内の他の場所に分散させることだと言われています。これにより、首都が壊滅しても重要な情報が失われることがないようにするという目的があったということです。
このARPANETは後にインターネットへの進化しました。インターネットの普及が始まったきっかけは大学の研究者達が効率的な情報交換の手段を必要としていたからだとも言われています。大学での研究者たちは、新しいアイデアを他の学者と共有する必要がありました。しかし、その当時は電話でのコミュニケーションに高い料金を払うか、エアメールで手紙を送るしかありませんでした。エアメールとは船や鉄道ではなく航空機を使って運ぶ郵便物のことです。エアメールの場合、到着までに時間がかかり、受け取った人がすぐに読むとは限らないため、フィードバックを得るまでには長い時間がかかることがありました。
現代では、インターネットのおかげで、思いついたアイデアを瞬時に他人と共有し、フィードバックをすぐに得ることができます。例えば、メールやLINE、Slackなどのチャット形式のツールを使用して、リアルタイムでのやり取りが可能です。この迅速なコミュニケーションは科学の発展やビジネスの進展に大きく貢献しています。
ARPANETから始まったインターネットは、巨大なネットワークへと成長し、世界中で新しい発明や技術が生まれると、それがすぐに広まるようになりました。このネットワークがもたらしたコミュニケーションの変化は、私たちの日常生活や学術分野、さらにはビジネスにおいても大きな変革をもたらしました。
パソコン通信
実は、インターネットが生まれる前から「パソコン通信」というものが存在していました。インターネットは1960年代に誕生し、1984年に日本でもインターネットがスタートしました。一方、パソコン通信はインターネットが普及する前の1980年代後半から1990年代中頃にかけて利用されていました。
日本国内におけるパソコン通信は、NEC、富士通などのメーカーが提供していて、同じメーカーのパソコンを購入することで、そのメーカーのネットワークに加入できるというものでした。しかし、このシステムにはいくつかの欠点がありました。
1つ目の欠点は、特定のメーカーが提供するパソコン通信のネットワークに縛られるという点です。例えば、NECのPCを購入しないと、NECのネットワークに参加できないという制約がありました。
2つめの欠点は、デバイスが高価だということでした。その時代のパソコンは非常に高価で、最も安いものでも40万円程度していました。
こうした限定的なネットワークでしかなったパソコン通信の欠点を克服したのがインターネットです。インターネットは、これらの制約を乗り越えて、世界中の人々が平等に繋がることができます。このシステムはお金持ちでなくとも、全ての人が平等に、互いに繋がることができるように設計されています。特に今日ではパソコンという比較的高額なデバイスを買わなくても携帯電話を購入するだけでインターネットが使えます。こうした平等性がインターネットの素晴らしい点です。
TCP/IPがインターネットを実現
この世界規模の平等なネットワークであるインターネットはTCP/IPによって実現されています。TCP/IPは1970年代に考案された通信プロトコルで、インターネットの基盤を形成しています。TCPは「トランスミッションコントロールプロトコール」の略で、情報を伝達する際の制御を行います。プロトコルとは通信規約のことで、インターネット上の機器やデバイスが互いに通信するためのルールを定めているものです。
デバイス間の通信には一定の規則が必要です。例えば、「ピピ」や「ピピ ピピ」というデジタル信号が特定の意味を持つように、これらの信号には特定の意味が割り当てられます。これらの規則を全体として取りまとめるものが「通信プロトコル」または「通信規約」と呼ばれます。こうした通信をする上でのルールを決めないと、お互いのデバイスがどのような意味を持つ通信をしているのか理解できません。
インターネット上の機器やデバイスには、スマートフォン、Wi-Fiルーター、インターネット回線に接続するためのデバイスなどが含まれます。これらの機器はTCP/IPプロトコルを利用して互いにコミュニケーションを行います。
昔は、インターネット接続のためにモデムなどの部品を店で購入し、自分でパソコンに取り付ける必要がありました。このように面倒な作業が必要でしたが、現代ではこれらのデバイスの登場により以前より遥かに簡単にインターネットに接続できるようになりました。このプロトコルのおかげで、現代のインターネットが成立し、私たちの生活が日々便利になっているのです。
インターネットとウェブは違う
多くの人がインターネットとウェブを同じものと考えがちですが、実はこれらは異なるものです。インターネットはウェブが生まれる前から存在していました。特に2000年代
多くの人々が「インターネット」と「ウェブ」を同じものとして認識していますが、これらは実際には異なる概念です。インターネットはウェブよりも以前から存在し、1990年代や2000年代初頭には特に「インターネット」という言葉が頻繁に使用されていました。一方、現代では「ウェブ(Web)」という用語がより一般的になっています。
インターネットは、複数のコンピューターを相互に接続した巨大なネットワーク全体を指します。このネットワークには様々な要素が含まれており、多岐にわたる技術とサービスが組み込まれています。これに対して、ウェブはインターネットの一部であり、インターネット全体を構成する要素の一つにすぎません。
ウェブは、この広範なインターネットネットワークの中で特定の役割を果たしているに過ぎないため、インターネットとウェブは同一のものではなく、異なるものとして理解することが重要です。
インターネットとウェブの登場でパソコンの可能性が無限に広まった
インターネットとウェブが普及する前は、多くの人々が秋葉原や大阪の梅田ヨドバシカメラのような駅前の大型量販店に頻繁に足を運んでいたものです。私の場合は、パソコン関連の書籍やソフトウェアの購入が主な目的でした。インターネットがまだ一般的でなかった時代には、パソコンをフルに活用するためには、ソフトウェアの購入とインストールが必須でした。フロッピー・ディスクやCD-ROMに収められたアプリケーションソフトウェアを手に入れ、自分でインストールするのが当たり前でした。
例えば、Adobeのフォトショップやイラストレーター、マイクロソフトのオフィス製品などは、個別にパッケージされて販売されており、それらを一つ一つ手動でインストールして使用していました。現在は、Office365のようなクラウドサービスが主流ですが、かつてはExcel、Word、PowerPointなどが別々に販売され、それぞれをインストールする必要がありました。
しかし、インターネットの普及により、この状況は大きく変わりました。コンピュータ同士が簡単に接続できるようになったことで、ソフトウェアの直接購入の必要性がなくなり、他人のパソコンにインストールされた興味深いソフトウェアやアプリを利用したり、データファイルをオンラインで共有できるようになりました。
この変化は私自身の行動にも影響を与え、秋葉原やヨドバシカメラに足を運ぶ回数が減少しました。インターネットが提供する、まるで無限の夢のようなソフトウェアの世界が手に入ったのです。インターネットプロトコル(IP)技術を基にした相互接続されたコンピュータネットワークは、多様な情報と楽しみを私たちに提供しました。
TCP/IPを応用した6つの技術
インターネット上のTCP/IPを応用した通信技術には様々なものがあります。その中でも重要なものが次の6つです。これらの技術はインターネットの基盤を形成し、私たちの日常に大きな影響を与えています。
1. Telnet (テルネット)
これは、リモートコンピュータにアクセスして操作するためのプロトコルです。
2. SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)
電子メールの送受信に使用されるプロトコルで、電子メールのやり取りに不可欠なものです。
3. FTP (File Transfer Protocol)
インターネット上でファイルをやり取りするためのプロトコルです。多くの人が使っていますが、FTPの本質的な意味や機能を完全に理解していない場合があります。
4. IRC (Internet Relay Chat)
オンラインでのリアルタイムチャットに使用されるプロトコルです。
5. NNTP (Network News Transfer Protocol)
ニュース記事の配信に使用されるプロトコルで、ニュースグループやフォーラムで活用されています。
6. HTTP (Hypertext Transfer Protocol) と HTTPS
これはウェブを成立させる基本的なプロトコルで、ウェブページの送受信に使われます。HTTPSは、HTTPにセキュリティ機能を加えたもので、より安全な通信を提供します。
次回のブログではこれら6つの通信技術について1つ1つ解説します。次回もよろしくお願いします。